05/08/2026
別冊住宅建築『1970年代の住まい 現代住宅の礎』
1975年に創刊した専門誌「住宅建築」の誌面から、1970年代につくられた住宅を選りすぐった本が先月、発売されました。
住宅設計という営みがまだ生まれたばかりだった時代の住まいは、どれも見てもまぶしいほどに魅力的に映る。
巻頭を飾る数件は、最近あらためて撮り下ろされた写真で構成されている。50年という歳月を経てもなお、色褪せるどころか、今見てもなお新鮮で美しい。
それがまず驚きで、どの建物からも、設計者と住み手、双方の熱量が伝わってくる。
とても読み応えのある本なので、住まいづくりに関わる人にはぜひ手にとってほしい一冊だと思います。
誌面に登場する住宅は、およそ50作品。そのなかに、独楽蔵の初期の建物が3件、収められている。
掲載されている建物の多くは、都内で活動する設計事務所によるもので、住宅の舞台も都内や別荘地が中心となっている。
そのなかで、活動の拠点を郊外の埼玉県・入間市に置きながら発信を続けていた独楽蔵の試みが、こうしてきちんと認知され、時代を超えて影響を残していることに、静かな誇らしさを覚える。
1970年代、「設計事務所」という形態自体の認識も乏しい時代に独楽蔵を立ち上げた星野厚雄のスタイルは、どこか特定の系譜に属さない、自然発生的なものだった。
その独自性ゆえに、一見すると奇抜で独特なデザインに見られがちだが、その根底にあったのは、ヴァナキュラーな日本の風土と、そこに営まれる暮らしそのものへ向き合う姿勢だったと思う。
間取りと大きな屋根――そのシンプルな構成のなかに、暮らしの本質を見つめ続けた痕跡が、随所に残されている。
周囲の環境や外部空間を建築の内側に引き込んでいく設計思想は、50年が経った今でも、まったく古びていない。
むしろ、今だからこそ、あらためて学び直すべきもののように思える。
耐震性、断熱性(省エネルギー性)、耐久性――これらはもちろん、住まいを設計するうえでの大切な前提条件だ。それを否定するつもりはまったくないけれど、近年は、その機能を満たすことだけが目的化して、窓の小さく、外部と分離された均質な箱のような住宅が増えている気がします。
まるで機能だけが正義の原理主義のように。
そしてそういう住宅を見ていると、なんだかそこに営まれる暮らしそのものが、どんどん貧しくなってしまっているような気さえしてしまう。
住まいとは、何だろうか。
50年前の住宅たちが静かにそう問いかけてくる気がした一冊だった。
50年前の住宅たちが、静かにそう問いかけてくる気が